富山地方裁判所魚津支部 事件番号不詳 判決
主文
被告人村岡金郞を懲役八月に、同平野加蔵を懲役六月に各処する。
但両被告人に対し貳年間右刑の執行を猶予する。
被告人村岡金郞より合計金貳千貳百九拾円を追徴する。
訴訟費用中山岸歳雄及金子勇三(昭和二十四年八月十日出頭の分)に支給した分は被告人平野加蔵の負担とし其の余は被告人村岡金郞の負担とする。
理由
被告人村岡金郞は富山県技師として昭和二十三年三月頃から富山土木出張所に勤務し同年四月から同二十四年一月末日まで同出張所管内の婦負郡中部南部を区域とする第四班の担当責任者となり同区域内に於ける県施行の土木工事並県費補助土木工事の調査設計施行監督及請負人に対する配分資材の保管並其の配分等の職務に従事し同年二月初旬入善土木出張所に転勤したもの被告人平野加蔵は右第四班区域に於て土木工事を請負つて居た毛利伝三郞に雇はれ請負工事の現場監督をして居たものであるが
第一被告人村岡金郞は
(一)右毛利伝三郞より請負工事の指導監督上便宜且寛大なる取扱ひを受け度い趣旨の下に同人の負担に於て接待するものであることを知りながら右毛利の接待先である同県婦負郡山田村湯百十七番地山田温泉こと湯本圭子方へ宿泊し(一)同二十三年四月二十八日頃金五百二十円相当の宿泊、食事、湯席料等の接待を(二)同年十月二十六日前同様金三百七十円相当の(三)同年十二月三日頃同様金六百円相当の(四)同年十一月中旬相被告人平野加蔵を介し同様金八百円相当の各接待を受け、以て右第四班の職務に関し合計金二千二百九十円相当の饗応接待を受け、
(二)同二十三年十一月頃同県土木部管理課より前記第四班地内の工事用資材として交付を受けたセメント十二瓩の切符を同二十四年一月中旬現物化し其の内五十瓲入二百十袋を同地内工事請負人数名に配分し残量の五十瓩入三十袋を被告人が一時其の代金を立替へて富山土木出張所の為婦負郡古里村長沢四千三百三十番地山崎清蔵方に保管して居たものであるが同年同月下旬入善土木出張所に転勤を命せられるや其の内二十四袋を自己の用途に使用する目的の下に同年二月二十日頃擅に被告人の肩書住居に之を横領し
第二 被告人平野加蔵は昭和二十四年七月八日相被告人村岡金郞に対する収賄被告事件の証人として当庁の召喚を受け其の公判廷に於て宣誓の上証言をしたものであるが其の際被告人は同相被告人及助手金子勇三の両名が毛利三郞の請負に係る山田村北山地内の県道災害復旧工事の指導監督の為同二十三年十一月中旬同現場に出張し同夜被告人が毛利伝三郞に代り同人の負担のもとに山田温泉旅館に於て右両名に対し酒肴の饗応宿泊の世話等をした事実を認識して居たにも拘らず殊更ら右事実がないと虚偽の陳述し
たものである。
証拠
被告人村岡金郞の証拠として
一、当公廷に於ける被告人村岡金郞、証人毛利伝三郞、同広野一夫、同金子勇三、同大松政雄、同長谷川定次郞、同佐藤はる、同島清松、同本瀬栄の各供述
二、司法警察員作成の本郷良作(第一、第二回)前田重義、山崎清蔵(第一、二回)、藤島清次、有倉才治、村岡やい、(第一、二回)の各供述調書及領置調書並写真
三、富山土木出張所長より捜査課長宛回答書
四、検察官作成の平野加蔵(三通)並金山栄造の供述調書
五、村岡やい作成の保管請書及金子勇三作成の始末書
六、領置してある当座帳
被告人平野加蔵の証拠として
一、被告人村岡金郞に対する第三回公判調書並平野加蔵の宣誓書
一、検察官作成の金子勇三(第一、第二回)山岸歳雄、長谷川定次郞、毛利伝三郞、山田昌幸の各供述調書
一、検察官の作成した被告人に対する供述調書(三通)
右は勾留前の調書であり且つ被告人が当公廷に於て検察官に述べたことは間違いなく検察官より何等無理な取調は受けなかつたと述べて居るので同調書の被告人に不利益な事実の記載は任意になされた供述と認める。
適用法条
被告人村岡金郞の判示第一の(一)に付き刑法第百九十七条第一項第百九十七条ノ四、同第一の(二)に付き同法第二百五十三条、其の余に付き刑法第四十五条前段第四十七条第二十五条刑事訴訟法第百八十一条
被告人平野加蔵の判示事実に付き刑法第百六十九条第二十五条刑事訴訟法第百八十一条
仍て主文の通り判決する。(昭和二四年九月二〇日富山地方裁判所魚津支部)